1967年。ベトナム戦争が泥沼化していくアメリカ。自由で、世 .. >(続きを読む)
1967年。ベトナム戦争が泥沼化していくアメリカ。自由で、世界をけん引してきたはずのアメリカは一体どうしてしまったのか。
一気にアメリカに内在していた負の部分が噴出し始めるこの頃に映画の世界ではニューシネマが台頭してきます。
誰からも愛される完全無欠のヒーローはそこにはなく、多くの反体制的なアンチヒーロー像が出現しました。
本作でポール・ニューマンが演じるルークもまさにそれに当てはまります。軍隊では軍曹にまで昇進したのに、二等兵で除隊。
恐らくは上官に逆らってばかりいる、軍隊では歓迎されない人間だったのだろう。
作業中にわざとらしく登場し、作業中の囚人たちの前で洗車する挑発的な女に囚人たちが興奮する様や、
ゆで卵50個一気食いイベントなど、母の死までは刑務所ものにしてはコミカルな空気も漂う。
それだけに囚人たちのヒーローになっていくルークが脱獄を繰り返し、痛めつけられ一旦は弱さをさらけ出す終盤の姿は痛々しくもある。
作品の舞台は刑務所ではありますが権力に屈せず、今自分がいる場所に自由が無ければ自らの力で道を切り開こうと更にもがき続ける。
だからこそ、そんなルークの姿は人々の心を強く掴んだのでしょう。