キューブリックといえば、シンメトリーを中心とした、映像美に非 .. >(続きを読む)
キューブリックといえば、シンメトリーを中心とした、映像美に非常に凝った監督ですが、例えば「2001年宇宙の旅」ではそれがいかにも近未来という感じを出していたのですが、この作品ではそれが妙に神経質で、まるで張り詰めた緊張の糸のように感じます。そして、シンメトリカルなエレベーターのドアからいきなり鮮血が流れ出し、シンメトリカルに配置されたエレベーターホールの家具を一気に押し流してゆく。これは正気が狂気に塗り替えられるのを暗示しているのに他ならないでしょう。キューブリックの映像美の意外な方向性を見た作品です。