<ネタバレ>シリーズ第13作
吉永小百合は2回目のマドンナとして登場。 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>シリーズ第13作
吉永小百合は2回目のマドンナとして登場。
ここまで来ると、もはや偉大なるマンネリズムの域に達しているというか、ある種「水戸黄門」のような「様式美」ともいえる基本フォーマットが
確立されており、公開当時はお盆や正月になると「寅さんにまつわる一悶着」を安心して見物することが国民的風物詩だったと想像できる。
だから寅さんは決して結婚はできないのだ(笑)
とはいえ、本作の冒頭では、その寅次郎が珍しく身を固めようと考え、心を寄せる島根県温泉津の女性の存在をとらやの面々に告白するところから始まる。
しかし行方知れずだった夫が突然戻ってきて……という、いきなりの失恋から始まるという本作の展開は、ちょっと捻りが入っている。
そして、歌子さんとのまさかの再会。
ここから悩める人を放ってはおけない寅さんの本領が発揮されていく。
結果的には、寅さんの包容力と(後先を考えない)行動力が父娘の関係を取り戻し、歌子が新しいスタートを切るきっかけになっていくのが不思議だ。
その陰でさくらの細やかな気遣いが人知れず助けになっているところも見逃せない。
そのさくらが「お兄ちゃんは歌子さんが幸せになるのを望んでいるんじゃない、ただ近くにいてほしいと思っているだけなのよ(趣意)」と言い放つシーンは、寅さんのマドンナに対するスタンスが図星に言い当てられたようで、印象に残った。
ラストは、その歌子が赴任した大島を訪ねたかと思わせながら、ふっきれたように冒頭に振られた女性に挨拶に行くところが心地よい。