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<ネタバレ>原題と違うキャッチ-な邦題には議論があるところですが、商業的には目を引いて正解なのだろうし、内容を端的に象徴しており、これはこれで良いのでは。私は見終わってから原題を知りました。原題を直訳すると「私のいない私の人生」となり、一瞬「?」となりましたが、エピローグにアンが死んだことが暗示され、アンと関わった人たちが次々に映し出されたことを思い出し、それらの人々が大なり小なりアンの影響を受けていることがわかりました。東洋思想でいうならば「縁」の思想とでもいいましょうか・・・。そして、それらの人々こそ「私のいない私の人生」であり、この作品の主題ではないかと思いました。生きている以上、自分だけの人生はありえないのと同じように、死後も(たとえ僅かでも)自分の影響なしの世界はありえない、アンの場合はこうでしたけど、あなたはどう考えますか?との問いかけである。本レビューの投稿数の多さからいっても、その意図は少なからず成功しているのではないかと思います。もう一つ、死期が近いことをアンが近親者に知らせなかったことに一般的には違和感を覚えるところですが、知らせることによって「したいこと」の半分くらいが出来なくなってしまうのもまた現実なのでしょう。作品としても、カメラワークや音楽など、なかなかの佳作だと思います。私としては刑務所の父が言う「愛する人が望むように生きられなかった」というセリフが悲しく印象に残りました。