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<ネタバレ>小さな貝の目線で見た世界。人間の世界に生きる貝という設定だけれど、決して人間の世界を悪く表現はしていなくて、寧ろその便利さを自分たちなりに活かして生活している貝たち。かと言って人間の世界への憧れやオマージュもなくて、そこにあるのは全てが上手く溶け合った世界とでも言いましょうか。上も下も優も劣もないです。
そもそもマルセルは自らを「貝」だと言っているから「貝」なのであって、ディーンとの関係性を見れば明らかなように所謂「貝」ではなくて「人間の隣に居る人間ではない存在」なのでしょう。少なくとも「巻貝」じゃないし。だって貝殻の中に住んでる訳じゃなくて貝殻と本体は一体化してますしね。よくよく仲間たちを見てみれば全然「貝」じゃないのもいますし。いや、そんなこと観察することはこの作品の鑑賞にあたっては全く意味がないですね。
同じ世界に住む異なる存在。彼らが助け合い認め合い共存している姿。そこに住む者は皆自分たちなりに自由。ひとつの理想郷ですね。シンプルにその在り方を描いた作品。どう解釈しようとそれは観る者の自由でしょう。実写とストップモーションの組み合わせで創り上げられた世界。それを際立たせる声の演出。少なくとも私は温かな気持ちになることが出来ました。間違いなく良作ですね。