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ここでのウィル・ロジャースは特に判事の業務を行うわけでもない。
トム・ブラウンとアニタ・ブラウンの仲を取り持とうと、
ゴルフボールを飛ばし、茂みの陰で一人芝居をし、飴を伸ばしと、
ひたすら具体的に行動する。二人を物理的に近づけるために。
その周囲を、ステッピン・フォチェットら味のある黒人俳優が
音楽的なイントネーションで語らい、歌う。
さらには、ヤギやアヒルや鳥たちも視覚と聴覚を賑わかし、
大合唱が大団円を盛り上げる。
そんな飄々としたウィル・ロジャースが暗闇の部屋にランプを灯すと、壁に
飾ってあった妻と息子らしき肖像写真が明りの中に浮かび上がり、
それを静かに見つめる彼の顔が写真の家族と重なり合う。
こうした何気ない静かなひとときのうちに、
彼が若い2人のために世話を焼く心中までが
滲み出てくるようで、愛おしい。