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<ネタバレ>アメリカ施政下26年目での映画化。いわゆる沖縄返還前年の映画である。現在に至るも何ら変わらない沖縄軽視への怒りと鬱屈は如何程だったことか。
一方の映画界は斜陽化の真っ只中だ。その中での精細なリサーチ、過酷なアクションを撮る新藤兼人・岡本喜八の
苦労は並大抵ではなかったはずである。
非沖縄的な風土・キャスト・言語に対する批判は容易いが、それはやはり酷だろう。
為政者側に特化した『日本のいちばん長い日』に対する反動でもあろう、軍部(参謀本部、32軍)・沖縄県民の双方を巨視的に描く
「叙事詩的リアリズム」(山根貞男)は、今度は米国兵士側を表象の対象から外した。
その視座は、日本軍の民間人軽視の描写を甘くもしていよう。
しかし、壕を出ろという軍人に抗議する大谷直子、軍人を弱虫と詰る女学生達の痛烈な叫びはカメラに正対して発せられている。
それは、画面を見る我々日本人たちへの痛罵という事に相違ない。
『ドイツ零年』のごとき、幼い子供たちの表情。そこには「主題におけるリアリズムとは全く異なったスタイルにおけるリアリズム」がある。