<ネタバレ>時間を可視、可聴化する振り子運動のオープニング。その予告通り .. >(続きを読む)
<ネタバレ>時間を可視、可聴化する振り子運動のオープニング。その予告通り、クライマックスは極上の時間のサスペンスである。
モノクロ画面の光と影と音響が相乗して緊迫感を盛り上げ、後半はもう目が離せない。
部屋に設置されていた録音機が録音していた、ジャック・パランスとグロリア・グレアムの密通と共謀の会話音声が流れる室内。
音声のみであることが、それを聞くジョーン・クロフォードの絶望感を際立たせる。
グレアムの部屋に侵入し、家探しするクロフォード。突然鳴り出す電話の着信音や、郵便配達員の影と呼び鈴にこちらもドキリとさせられる。
結婚の歓びから一転しての困惑、悲嘆、絶望、そして復讐までの神経症的な感情の流れを的確に表現するヒロインの素晴らしさ。
照明のオン・オフを駆使して黒い陰影を投げかけるチャールズ・ラングのカメラもまたその感情表現を画面に乗せている。
クローゼットに隠れた彼女の額に浮かぶ冷や汗、真っ暗なベッドの上に光る彼女の妖しい眼の光など、異様なまでに優れた出来栄えだ。
ラストのアクションもまた、坂道や隘路などの工夫を凝らしたロケーションが不安定なノワールムードを醸す中、
ジャック・パランスが次第に狂気を帯びて最後までスリリングである。
別荘の崖路を下り、階段落ちを演じ、坂道を逃げ降ったクロフォードは、ようやくラストで夜明けの陽を浴びつつ坂道を登り始める。