作り手が統御し得ない火、水、風の要素が画面内で不定形に狂乱す .. >(続きを読む)
作り手が統御し得ない火、水、風の要素が画面内で不定形に狂乱する。
水飛沫をたてながらバスタブに後ろ向きに突っ込んで悶死する一等書記官と、バーのマダム。
泥水の水溜りも、ことごとく画面に飛沫を撒き散らすために配置される。
水責めとバーナー責めの拷問や、真っ赤に噴出する血飛沫、ススキ野原、櫓の炎上もまた然り。
何より眼を奪うのは、クライマックスで過剰なまでに散乱する紙片(即ち、風)の凄まじさだ。
激しく舞い踊る紙片の狂騒ぶりが理由もなく活劇的に映画を盛り上げる。
杉本美樹の無表情、室田日出男や郷英治の神経症的な顔面を際立たせるネオン照明の照り返しも秀逸だ。
ヒロインの受ける拷問、傷跡、バスタブ、風、そして破り捨てられる警察手帳は、
どことなくイーストウッド譲りといった趣。