フランスで生まれ、イタリアのスペクタクル史劇映画を経由したト .. >(続きを読む)
フランスで生まれ、イタリアのスペクタクル史劇映画を経由したトリック映画の造形性・見世物性を継承・発展させているのがアメリカ映画であることをスコセッシ監督が如実に示す。
この作品でのストーリーテリングも、メリエス作品のようにそのスペクタクルを目的とするためにあると云って良い。だから作劇はもっとシンプルでも良いくらいだ。
解説的で、直截的で、打算と下心まる出しにも見えてしまうオマージュの作法には辟易するのだが、それはほとんど変節ともみえる作風の違いを受けての不純な読みでもあってどうも居心地が悪い。
列車や時計盤といった一目瞭然の声高オマージュよりも、『ダイヤルMを廻せ!』の鍵穴、『めまい』の階段、『ハリーの災難』の足、『下宿人』のガラス張りの床などを意識した立体効果のように、暗に提示されているそれらのほうにこそ心は動く。