<ネタバレ>「そこにいないのに、そこに見える」死者と、
「そこにいるの .. >(続きを読む)
<ネタバレ>「そこにいないのに、そこに見える」死者と、
「そこにいるのに、そこに見えない」生者。
その実像と虚像が、硝子の反射と水の透明性のモチーフによって視覚化されていく。
巻頭の病室におかれた硝子コップ。窓ガラス。鏡。校庭の池の水面。義眼の碧い瞳。
それらの反射面に浮かび上がる不鮮明で半透明な人物の像が示すのは
彼らのあいまいなアイデンティティだ。
印象的なその碧い瞳の超クロースアップは、
見る主体と見られる対象を同時に画面に乗せ、
橋本愛の冷やかな印象を強調するとともに
観る側の視線を引き付ける求心的な効果がある。
切り返しを排し、見る主体を不明瞭にしたままの歪な一方向的主観ショットと編集が、
ラストシーンの別れでは切り返しによる視線の交換へと変わり、
橋本愛と山崎賢人の淡い交流を際立たせる。
その表情は画面からは判然としないが、
さわやかな水色の衣装で大きく手を振って車を見送る橋本愛が小さくなっていく、
山崎賢人の見た目のショットがいい。
二人が携帯電話の番号を交わす合宿所の夜、
二人の座るテーブルに置かれた白いカップはもはや硝子製ではない。