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<ネタバレ>同じ北海道でも、函館などの道南地区と美瑛などの道央地区では
スクリーンイメージは大きく違う。
特にこの道央が舞台となると、ただただ自然の美観と悠々自適の快適ライフばかりが
アピールされて生活感覚を欠いた映画が最近は多く、この映画も例外ではないのだが
その景観の魅力は端正で安定感のある撮影でよく撮れている。
物語の大筋も感傷的でウエットなものだが、柄本明のユーモアと杉咲花の快活さが
随所でうまく補っている。
吹雪の夜のシーンで、自然な流れで佐藤浩市に娘のアルバムを持ち出させる契機とする
柄本の起用法など巧みだと思う。
樋口可南子を失った後の佐藤の暮らしぶりの変化を、トイレや鏡の描写で
さりげなく示す演出や、野村周平の保釈後の流れなどなど、
台詞をかなり削ぎ落としているのもいい。
のだが、それらの寡黙なシーンになるとすかさず岩代太郎の雄弁な劇伴が
ご親切にお世話してくれてしまう。勘弁して欲しい。