<ネタバレ>街の情景から窓辺にピントが移り、女物の服飾のデッサンから恋人 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>街の情景から窓辺にピントが移り、女物の服飾のデッサンから恋人同士らしきツーショット写真へとパンされる。
案の定、そこは女性の部屋で彼女は憂鬱そうな表情で誰かと何やら通話しており、荷物をまとめた彼女は酒瓶を手に取るが、
アクセサリーらしきものは残していく。
冒頭からタイトルの出る事故シーンまで、音声はスマートフォンから響く彼氏らしき男性の声のみだが、仮にそれがなくとも
二人の間に何らかの諍いがあり、家を出てきたことは彼女の表情から容易に想像がつく。
24時間営業の給油所で彼女の車の後から入場してくるヘッドライトも含めて、後の展開の伏線となる要素が
一切台詞抜きで画面によって効率的に提示されていく導入部がいい。
クロースアップの多さが苦にならないのは、俳優の表情が心理劇を一層引き立てると共に、閉鎖空間の強調効果を生んでいるからだ。
ダクト内を匍匐前進するヒロインをナイフが襲うショットではその閉塞感が生むサスペンスはなかなかである。
防護服を通して生き物の音が響いてくる、車の警報音が鳴りだすなど、音響の強弱も随所で効果をあげている。
アクションが絡むと途端に乱雑になるカメラワークが惜しい。