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<ネタバレ>傾斜のある砂浜と空のラインの間に人物が全身のショットで配置される。引きのショットが中心となり、
地と海と空に囲まれた人間や動物は、その存在の小ささが際立つ。
そのロングショットによって顔の表情を省かれ、科白を省かれた分、身体全体のアニメーションで歩き・走り・泳ぎなどの基本動作を表現する
作画スタッフの力量が露わとなる。歩き方ひとつとっても、心情を反映した様々なパターンがあって描き分けは簡単ではないだろう。
シンプルなラインと動きだからこその、アニメーションの醍醐味がある。いかにもデジタル風な亀は残念ではあるが。
出会った男と女が水中で優雅なダンスのように舞い合う夢幻的なカットが、まるで『アマゾンの半魚人』の水中シーンのように美しい。
凪いだ海の繊細なタッチ、荒れ狂う海を表現する豪快なタッチも独特の味を出していていい。
砂浜に絵を描くシーンの筆跡の表現では、描いた絵を一旦消した上からさらに絵を描くといった凝った芸当も見せてくれる。
動画そのものの力で最後までドラマを牽引してみせてくれたのは立派だ。