<ネタバレ>監督・主演のロバート・モンゴメリーがまずはカメラに正対して長 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>監督・主演のロバート・モンゴメリーがまずはカメラに正対して長広舌を披露する。視線をほとんど逸らすことなく長台詞を軽やかに語る彼の
眼にまずは吸い込まれるのだが、そこからその彼の眼がキャメラと化してドラマが進行していく。
いわゆる一人称キャメラである。
煙草の紫煙が画面の下手から立ち昇り、鏡の反映が絶妙なアングルで映し込まれ、オードリー・トッターの顔が間近まで迫る。
難儀しただろう撮影上の苦心や技法の方につい関心が向きすぎてドラマにいまいち入り込みづらいのと、画面の動きの乏しさでさすがに中盤には
飽きがきてしまうのがやはり難点か。
と、その辺りは想定したらしく、地味ながら車の尾行やクラッシュなど活劇的見せ場の配置も忘れてはいない。
路側に停車している不審車の横を抜け市街へと車を進行させてゆくフィリップ・マーロウの視点。フロントガラスを緩やかに流れていく夜の街路。
バックミラーに視線が移ると、不審車のヘッドライトが次第に迫ってくるのが判る。
ノワールムード香る、一人称のカメラが良く活きるシーンである。