<ネタバレ>中条あやみが広瀬すずの家を訪問するシーン。広瀬が背後の台所に .. >(続きを読む)
<ネタバレ>中条あやみが広瀬すずの家を訪問するシーン。広瀬が背後の台所にいる父親のほうに気をとられていた間、中条の視線の対象として壁に施された広瀬自作のスケール、次いで仏壇に掛けられた母親の写真を映し出す。中条は広瀬の陰の努力を理解し、家庭の事情とともにチアダンスに対する思い入れの根拠を知る。
その帰り道、それを補足説明する会話を入れてしまうといった愚を犯さないところが嬉しい。
そこから二人の仲間集めが始まるのだが、ここも簡潔な台詞と笑顔、そしてダンスのシンクロによってエモーションを盛り上げる。
あれもこれものエピソードを端折る意味合いが大きいのだろうが、
背景や心情など、説明の無駄をあまり感じさせない効率的な語りは好感度が高い。(音声主体で示唆される、広瀬が怪我するエピソードや、
メンバーに復帰した彼女が周りの動きに同調出来るようになる動きと仲間たちの応答。)
本番前に円陣を組んでの、中条と広瀬の間で交わされる会話のやり取り。そのシチュエーションの反復描写がもたらすのはユーモアだけでなく、
チームの結束と成長の有効な提示だ。フクイをアピールしすぎの気もするが、「ほやほや」などの方言の愛らしさは映画をより一層魅力的にしている。
終盤ではそつなく天海祐希の視点とドラマをインサートし、天海の台詞を広瀬に反復させることで教育と継承のドラマとしてもまとまっている。
ひとつのフレーズを他者が反復することで豊かな関係性を生起させている。