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<ネタバレ>ケヴィン・コスナーからタラジ・P・ヘンソンへと手渡される白いチョークが二人を繋ぐ。その慎ましいクロースアップが
不思議と心を揺さぶってくる。
これは冒頭の少女時代の教師から手渡されるチョークのアップショットとも呼応するのだが、
こうした様々なモチーフのさりげない反復や変奏が非常に豊かな映画である。
閉じられるドアと開かれるドア。コーヒー。ネックレス。見上げる行為。歩く行為。走る行為。
ガラス張りの本部長室とトイレの鏡。
オクタヴィア・スペンサーとキルスティン・ダンストとの対話もトイレの鏡像(虚像)として交わされるシーンを
一旦挟むからこそ、ラストの二人が活きてくる。
クライマックスである打ち上げ直前の再計算のシーンは実際なら内線電話一本で済む話だが、
そこをあえてドアからドアへとヒロインを走らせ、ドアを開けて迎え入れさせるというのが映画の演出である。
ケヴィン・コスナーに怒りをぶつけるヘンソンの叫びは、言葉の意味以上に声音そのもの響きと震えで心を打たずにおかない。