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<ネタバレ>トリュフォーが演じるイタール博士が幾度か立ち寄るレムリ一家は、クロード・ミレール監督一家のカメオ出演だという。
そのクロード・ミレールが、ヴィクトール少年(ジャン=ピエール・カルゴル)にせがまれ手押し車に乗せて遊んでやるシーンがあるのだが、
そこでの彼はちょっと強張ったようなぎこちない表情を見せる。職業俳優なら間違いなくもっと楽しそうな笑顔を演じるところだろうが、
逆にその芝居気無しの無骨な表情が何ともいい味を出しているのである。あわせて、夫人の素朴な佇まいも生来的だろう清楚さを醸し出している。
自然と文明を区分するかのように、窓辺や玄関戸といったルノワール的ショットが頻繁に登場し、ヴィクトール少年はその境界の窓辺に立って窓外を見やる。
ミルクを意味する「レ」をようやく少年は発音する。その感動的なシーンを引いた位置から見守るカメラの慎ましさがいい。