スラップスティックとしてのスピード感と破天荒ぶりでは
『チ .. >(続きを読む)
スラップスティックとしてのスピード感と破天荒ぶりでは
『チャップリンの拳闘』に敵わないが、
その軽快で飄々とした緩いペースこそジャック・タチらしさだろう。
郵便配達の自転車の軽快な疾走に始まり、走り去る自転車に終わる、
全編通してののどかな屋外のロケが瑞々しく、
陽の降り注ぐ野外のリングで行われるボクシングや、
いたるところで登場する沢山の動物たちのランダムな動きと共演が大らかでいい。
ヌーヴェルヴァーグの先駆けともいえる。
軽いフットワークでボクサーの動きを模写をする
ジャック・タチのコミカルなパントマイム。
後に『右側に気をつけろ』を撮るゴダールが
自作中でよく取り入れるシャドーボクシングの身振りの原型がここにある。
トーキーだが台詞は相当に省略され、
手引書の図解を利用したギャグを始め、
サイレント的な身振りによる語りが冴えている。