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<ネタバレ>硫黄島よりスリバチ山が印象的。「父親たちの星条旗」では外側が、「硫黄島の手紙」は内側が主要な舞台となる(だから、「硫黄島~」を見たら必ず「父親たち~」も見なければならない。逆も然りだが・・・)。スリバチ山の内部で展開される攻防の様子は見ごたえ十分なのだが、何よりも迷路のように作られた洞穴での非戦闘時の様子が心に残る。手紙を書く視線とオフの声、戦闘前の渡辺謙による万歳三唱、弾に当たらないよう腹に巻かれる縁起物(名前ど忘れ・・・)の哀しさ、伊原剛と米兵捕虜との対話、玉砕前にラジオから流れる歌声・・・あと例外的ではあるが中村獅童が洞穴で結局捕虜として捕まってしまうシーンの可笑しさ。これらの見事な叙情性は「父親たち~」ではほとんど見られることはなく(だからといって「父親たち~」を見ない理由は・・・って、しつこいか)、「硫黄島からの手紙」におけるスリバチ山の内部という、絶対的な「暗」の中でわずかに照らされる光となる。日本兵(日本人)に対してこれ程真摯に向かい合ったイーストウッド、そしてそれに見事に応えた日本の俳優たち。それらが最終的に優れたアメリカ映画へと昇華されたということ。ていうか、褒めることしか見当たらない(笑)のだが、「父親たち~」の方がやっぱり上かなと思う。それはイーストウッドのいまだ衰えぬ野心を、直接触れたら凍傷になってしまう冷たさを、「父親たち~」は持っていたように思うからである。あの、海辺で米兵たちが戯れるラストシーンの浮遊した感じなんかでも、いまだに言葉にする事が出来ない。それに比べれば「硫黄島からの手紙」は上記のように褒めることができる分、安全な感じがするのは否めない。