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<ネタバレ> 北朝鮮に帰る人達は、「みんなで」新しい国を作ろうとしている。サユリちゃんのクズ親父は、組合のいわば「集団の力」で、職と地位を確保できそうである。進学する余裕のない子も、働きながら「みんなで」夜学で学ぶことで、勉強を進めることが出来るという。
全体主義と言うと違うけど、何か胡散臭い共同主義幻想にごまかされている感が強くする。特に働きながら夜学で、という部分は、なんだか電機メーカーのイメージ戦略絡みの匂いまでしてくる。まあ、それは置いといて。
いろんな映画や、時には現実にも聞くことのある、「働きながら学ぶ事もある。生涯勉強だ」というのは、間違っているとは言わないが、これ、ある種の誤魔化し、方便だと思う。学校で学ぶものと、職場で学ぶものは厳然として違う。自分自身、夜学出身だから、それ自体を否定はしないけど、単純に夜学ぶのと昼学ぶのが、同じだと考えているような、幾多の創作物を見ると、どうしても違和感が拭えない。
しかし、こういう環境下で、ちょっと危うい部分はあるものの、ハツラツな真っ直ぐさと、オンナオンナしていない少女の魅力を、見事にサユリちゃんは発揮していて、まぶしいくらい。
失礼ながら、「演じた」というよりは「発揮した」という感じ。この時代の、この年の少女だからこそ持っている、彼女の魅力。体現したと言っても良いかも知れない。
それにしても、子分の生活費をバイトで稼ぐまでになった弟くんは、エライ。この映画の中で一番の成長株かも知れん。