<ネタバレ> 昔、ある作家のエッセイで、女性読者の話としてこんな言葉を読 .. >(続きを読む)
<ネタバレ> 昔、ある作家のエッセイで、女性読者の話としてこんな言葉を読んだ。「物語の中の女の子は、何故どこの馬の骨とも分からぬ王子を、それというだけで受け入れるのか?」
なるほど現代の女性は、相手のステータスだけで結婚相手を選ばない。自分と相手の気持の帰結としての、結び付きを求めている。
そういう意味では、今時は童話や昔話をしにくくなった事だろう。白雪姫にいたっては、「通りすがりの王子様」だもの。ちょっと、それはねえ。
そんな訳で今作の王子は、ちゃんとした隣国の王子で、スノーホワイトの幼なじみとなっている。彼女との思い出もあり、彼女も憎からず思っている。ところが、例の毒リンゴを食らわされて、この王子が泣きながらキスしても、覚醒めやしない。ここへ至ってやっと、白雪の相手は、命を助け合ったエリックの方なのだと気づく。生死と苦楽を共にした気持ちの結び付きは、遠い日の思い出よりも強いのだな。このあたりの展開も現代的、というか大人の物語として良いと思う。
ところで、毒リンゴのシーンに張り巡らされた、周到な罠には唸らされた。
冒頭に描かれた、白雪のイメージカラー、真っ白な雪のシーン、それと同じような雪のシーンで、「こちら側」感を出す罠。
幼少時の二人の遊びのエピソードとしてリンゴを使い、それと同じシチュエーションと見せかけて、それを毒リンゴと思わせない罠。
それまで女王自身、そんな大きな魔法を使えるとは思わせなかった罠。
……で、まんまとそのシーンでアッといってしまった訳だ。
その後の、戦いに至るストーリーは、今時のファンタジー映画の流行りなのかもしれないが、私は好きではない。もうちょっと上手いこと魔法使いをやっつけるアイデアは無いものだろうか。
しかし好きでないとは言いながら、全体的には結構楽しめた。ちょっと前の『赤ずきん』よりかは、よっぽど。