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<ネタバレ> 2014年版のゴジラのレビューに、「平成ガメラの後に本来東宝が作るべきだったゴジラ」と書いたのだが、まさに本作がそれである。およそ20年の遅れである。だけど、まだまだそこかしこに嘘くささが残ってはいる。例えば石原さとみ。いろんな人に指摘されていて可哀想とは思うが、頑張ってはいても国を代表している感じゼロなのは悔しい。それでも飛べるはずもない格好した新兵器とか、訳の分かんない光線兵器などは登場せず、通常兵器と驚くべき流用の爆弾と、工事現場でお馴染みのポンプ車を使った「毒殺」作戦は面白い。
また、序盤で小さな川を登ってくるおかしな怪獣は、ゴジラの背びれだけ似せた別の巨大化生物(東宝怪獣映画でよくあるやつ)なのかと思ったら、そこからの進化がゴジラだというのも斬新で良い。
さて、ゴジラといえば「核(兵器)の象徴」という性格付けが付いて回る。今回も核廃棄物を食べた、と言う事になっていておそらくそれ故の異常生物だと。しかしながら、それが核の恐怖に繋がっている感じがないのが残念。周辺の状況はそれっぽい。例えば「直ちに影響はない」と言いながら次第に事態が深刻に推移した現実を茶化すように、専門家が進言する言葉が次々に覆されたりする描写は笑う。いや笑っちゃいけないが。
まあ、そう考えると「固めてしまう」という方策は、たしかに核のトラブルっぽい。所謂内部からの「石棺」であろう。
「逆襲」で人間がゴジラをやっつけたのを評価した自分だが、今回は通常兵器(厳密には化学兵器だけど)で、自衛隊が核の脅威を封じ込めるというのは、なかなか良い展開だと思ったが、よくよく考えるとゴジラはやられてはいけない存在のような気もする。そうしないとゴジラという物語が核批判にならないのではないのか。結果ありきで物事語るのは良くないとは思うが「頑張れば知恵と勇気で核は制御できる」なんてメッセージになりかねないのではないか。それでは原典を否定してしまう。
監督の発言(何かで読んだ)によると、うろ覚えだが「日本もまんざらダメではないゾ、頑張れ日本」というメッセージらしい。それはそれでアリとは思うが、世間(少なくともアメリカ版ゴジラを批判する一部の人達)の期待の反対を主張してしまう。
自分としては、続編『シン・ゴジラの逆襲』であの石棺(血液凝固)が崩れて、再び大暴れするゴジラを期待したい。そうすると、監督のメッセージを否定してしまうかな?[良:3票]