<ネタバレ>今は本が読めない体だが、かつては日常の謎系ミステリというのが .. >(続きを読む)[笑:1票]
<ネタバレ>今は本が読めない体だが、かつては日常の謎系ミステリというのが好きだった。北村薫全盛の頃。どうやらこの話はそういったモノらしい。序盤に青年が持ち込んだ本に秘められた謎を示すところなどは、(ホームズの来客への推理のように)多少強引ではあるが、美少女店主の才能を充分に見せていて見事。映画は過去のおばあさんと小説家志望の若者の話を現代と交互に見せて、視聴者には良く分かる仕掛けになっているが、登場人物たちが何によってどこまでその辺の事情が判明しているのか、良く分かりにくい。青年は自分のおじいさんの正体を『切通坂』で知ったのだろうが、あくまで小説だよ、それ。いや、待てよ、小説家青年は彼女が身ごもったことを知っていたのだろうか?そんな描写は無かった気がするが。
さて、ミステリの醍醐味は謎が提示されて探偵役がそれを解明する見事さにあると思っている。その点本作は「これだ!」という解明が無くダラダラと成り行きで話が進み犯人が強硬手段に出る。
あのタイミングで青年が襲われた時点で、それを持っていると「知っている」あの男が犯人だと指摘する描写が必要だろう。栞嬢ほどの人なら当然分かっていたはずだが、まんまと油断して追い詰められてしまう。仕込みの犯人に導くために、伝票の書き方や本の「焼け」を再現する男が、最後に随分と稚拙でちょっと繋がらない。また、最後の闘い時に本を投げ捨てちゃうのは探偵側の敗北のように感じてしまうのは、「本よりも大切なものがある」という部分の説得力が映画的・物語的に表現できていないのではないかとも思う。
まあ、色々と不満点もあるが、キャラクタ的に好感度高いし、楔の伏線は見事だったと思う。そして何より大人になった夏帆ちゃんの演技に心動かされてしまいましたよ。だから点数高め。
最後に栞さん、余計なお世話ですが、たかだか鍵を出すだけで男の目の前であんなに胸元を開けちゃいけませんよ。[笑:1票]