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<ネタバレ> 僕らは生きているだけで何かを傷つけてしまっているということ、これが主人公が最後にわかったことって、ちょっと困った映画だな。僕らはまず赦し合うべきだった、というのは悪くはないが、これでは40点だ。
今までの物語が2時間もかけて語ってきたのは、人は、エゴによって人を傷つけること、掲げた理想のために大量破壊を行うこと。「生きているだけ」には見えない。だから「赦し合うべきだった」に説得力がない。赦し合うことに関する物語、たとえば、許すとはどういうことか、なぜ許せないのか、許すことの困難さ、などほとんど語られていない。
さて、他に気になるのは、最後キャシャーンとルナの思いは、光となって、宇宙を進み、どこかの星に「イナズマモノリス」となって突き刺さるが、ということは培養槽に落ちたイナズマも、誰かの思いだったのだろうか?誰のどんな思いだったのか?
原作アニメーションとあまりにも違いすぎる世界観に、公開当時大きな批判というか、落胆があった。今更だが、新造細胞というテクノロジーで人類に仇なす者が生まれ、「同じテクノロジーでそれをくい止めるものが生まれるが、異形の化け物として苦悩する」と考えると、この物語はキャシャーンと言うよりは、仮面ライダー(とくに平成の)にふさわしかったのではないか?なんて、最近思う。
スチームパンク的な世界観のメカ・美術設定、ちょっとあざとい、というか狙いすぎ。それに表現し切れないものは思い切って切るべき。たとえば、ミッチーの腕にある意味有りげな入れ墨っぽいもの。最初あれ、生き返った連中のと同じ縫合痕のように見えて、混乱した。