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<ネタバレ>【男はいつまでたっても子供】という機微を絶妙に映し出した大傑作です。
あの最強の大剣豪が、なんと女の尻に敷かれている(´ー`)y─┛~~
調べたら、1両の価値は2万~36万円ぐらいらしいです。この映画、【100万両は大金なのである!】がテーマのハズなのに、【こけ猿のツボ】を全く探す気がない源三郎を始めとして、小判をメンコに使う安坊など、100万両そっちのけで、お金の価値を考えずに遊び呆ける姿がとっても面白い! 子守唄をBGMに使ったり、洒落の効いたセリフなど、映画の完成度としては『七人の侍』をはるかに超えています。まさか70年も前の映画に爆笑するとは思いもしませんでした。
物語が進むほど、お金をめぐるドロドロした強欲さが(登場人物みんな、言葉では発してはいるんですが)微塵も感じられなくなっていくから不思議です。
この映画の特徴は随所に上手く散りばめられた”くり返し”にあると思います。
「絶対にいやだ!」と断固として断る左膳が、結局、お藤のピシャリの一言に頭が上がらず、七兵衛を見送ってしまう。お藤もまた安坊を叱っておいて、安坊の竹馬遊びにつきあってしまうなどの、①”あまのじゃく”のくり返し。
金魚釣りのシーン、執事と萩野がそれぞれ全く別々の衝撃の事実を知ってしまう、②望遠鏡でのくり返し(これはおなかが痛くなるくらい笑った)。
③安坊の実家までの道順を教える、くり返し。
10数えて殺すシーンでの④安坊のセリフ「どうして唸ってるの?」のくり返し(これには背筋がゾッとしました)。
くり返しだから、”時間のムダ”であるようで、この映画では決してムダではなく、むしろ相乗効果を生んでいる。
左膳の無骨な優しさが、教育パパとなって随所に現れていて、とっても微笑ましい。
ところが、安坊が「泣いたのは、おっかあが死んだ時だ」と突然、変化球を投げてくる。さんざん笑わせといて、突然ホロリとさせる。山中貞雄監督は、稀代の天才であったと認めざるを得ません。GHQが削除した殺陣も観ましたが、やはり隻眼隻手の丹下左膳は最強の大剣豪でした。
江戸っ子なのが玉にキズ (ノ∀`) アチャー[良:3票]