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アンゲロプロス監督作品は初めてなので、観るまでは自分に合うか不安でした。
オープニングでその心配も杞憂と分かり、叙事詩の世界に浸ることが出来ました。
どのシーンも、構図やタイミングや衣装や小道具に至るまで、監督の思い入れのもと完璧に作られていると思いました。
美術館に行き絵画を鑑賞したらば、それぞれの作品が動き出したような錯覚を覚えました。
この作品で印象的なのは、遠くから覗いている、見渡している視点。
村を広く写し、主人公たちは横向き後ろ向きでたたずむ、抱き合う。
悲しいことが起こったときも、観客は遠くのほうから見ているのです。
観ている私は、エレニの側に行けないので益々心配になってしまうのです。
そしてエレニの美しさ。
それは男の子から見た母の姿だからなのでしょう。
監督もインタビューで母を描いたと話されています。
私は男の子の母ですが、エレニの心情と自分とを重ねた時にしっくりこなかったのです。
私自身は、エレニのようにそんなに美しいばかりではいられないから。
それは監督(男の子)から見た母の姿なのだと、納得いたしました。
『エレニの旅』は三部作の一作目。
これからはどのような旅になるのか、アンゲロプロス監督に期待しています。[良:1票]