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<ネタバレ>私もイニシャルKさんと一緒でこの17作目がシリーズ最高傑作だと思います。いや、このシリーズだけでなく、山田洋次監督の撮った全ての映画の中でも最高の映画はすばりこれだと言いたい。少なくとも世間的にやたら好評で数々の賞を獲得した「たそがれ清兵衛」なんかではない。←ここが最も重要である。本物の山田洋次監督ファンならば山田洋次監督と言えば誰が何と言おうと「男はつらいよ」の監督です。と言う筈です。そんな寅さんシリーズの中にあって、唯一、寅さんがマドンナに振られない。失恋しない作品であって、また善人しか出てこないこのシリーズの中にあって、唯一の悪人が出てくる。大地喜和子演じるマドンナで芸者のぼたんの明るさ、そんなぼたんが大事に貯めた200万円という大きなお金を悪人に騙し取られたことを知った寅さんが裁判所が向こうの方を持つなら俺が何とかしてやるとばかりにぼたんの見方となる寅さんの男としての心意気、やってること、言ってることは滅茶苦茶だけど、その滅茶苦茶な生き方こそ寅さんそのもの!そんな寅さんの心意気に心を打たれたぼたんが「私、初めてや!男の人のあんな気持ち知ったの!」て言うその台詞にこそ寅さんの優しさが伝わる素晴らしさを見ることが出来る。話の前半、飲み屋で偶然、出会った画家との旅先での交流、更にはいつもと同じで旅先で出会う人々のやりとり、寅屋でのおいちゃん、おばちゃん、妹さくらと亭主の博、寅さんシリーズに欠かすことの出来ないお隣の印刷屋(朝日印刷)のタコ社長との会話の楽しさなど全てが面白くて可笑しくて、切ない。そして、この映画はラストも素晴らしい。寅さんシリーズ史上、最高の感動をもたらしてくれるあのラストシーン!寅さんがぼたん宛てに送ってきたもらった画家(青観先生)の牡丹の絵を見て、「先生!ごめんよ!」と言って東京に向って手を合わせるシーン!このラストがあるからこそこの作品がシリーズ最高傑作と言われる所だと思います。笑えて、泣けて、寅さんの惚れた女(マドンナ)の為なら自分はどうなっても良いというその姿勢、寅さん映画の素晴らしさが全て詰まった文句なしの大傑作![良:4票]