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<ネタバレ>◆見終わった後、本気でスクリーンに拍手を送りたくなりました。◆まず、この映画には解説がほとんど存在しないという所が凄い。どんな作品でも、観客にとって初めてのものを見せるときには解説が必要です。なぜなら、どんなに凄いことをやっていようと、見る側が理解しなければその凄さが分からないからです。解説は、見る側の知識を補填する役割を果たすという意味で重要です。ましてや、納棺師というテーマは観客にとって未知の世界であるため一層解説が必要になるはずです。◆しかし、この作品は見ただけで納棺師の誇りが伝わってくる。納棺における主人公の一つひとつの所作や遺体の着物が刷れる音、そこに漂う独特の緊張感からそれが伝わってくるのです。映像だけで納棺師の誇りを表現しきっているという所に感動します。◆さらに、ストーリーにおいても「どんな仕事にも喜び、苦しみ、そして誇りがある。」というテーマが一貫している。ストーリー自体はシンプルで分かりやすいけれど、一貫したテーマのもとに成り立っているため、どんなに分析的に見ても入り込めるのです。◆キャストも味のある役者を揃えている。本木雅弘は役に本当に忠実に演じており、山崎努は熟練の納棺師の誇りを体現していた。笹野高史の醸す哀愁は、スクリーンから少し漏れていた。それぞれがそれぞれの味を存分に出しているけれど、ひとつの作品として融合している。◆このような映画を、しかも愛すべき邦画を映画館で生で見られたことが純粋にうれしい。この作品は、映画でしかなしえない、「映画」と呼べる作品だと思う。