この映画は戦争映画ではない。ヒューマンドラマだ。
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この映画は戦争映画ではない。ヒューマンドラマだ。
クリント・イーストウッドが描きたかったのは戦争ではなく、戦争という状態における人間だと思う。
だからこそ、派手な戦闘シーンはないし、戦略についても多くを省いた。
そして、その描き方は見事に成功している。
この映画を見たほとんどの人間がこう感じたと思う。
「見ていて、つらい。」
それは、この映画が受け手にあまりに鮮やかな恐怖と悲しみを与えるからだ。
さらに受け手が日本人の場合、自分とたった二、三親等しか離れていない日本人が、国のため、家族のために、このような状態の中で戦い、命を落としたという事実が恐怖と悲しみを増幅させ、そして徹底的に人にフォーカスした描き方が、この映画を追体験から”原体験”に昇華させる。
私はこの映画を見ていて、涙が止まらなかった。それは悲しいという感情だけではなく、言葉にできない、何か他のものがこみあげてきたからだったように思う。
私は戦争には反対だ。
だがたった数十年前に、死を賭してこの国を守ろうとした人間達がいたことを、絶対に、絶対に忘れてはならないと思った。
また、イーストウッド自身が「この映画は邦画」と言っていたが、まさに邦画だった。
この題材を使っても、今の日本映画界ではまともな映画は撮れないのだろう。
日本人の代わりにこの素晴らしい映画を撮ってくれたイーストウッド監督にありがとうと言いたい。[良:2票]