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<ネタバレ>原作者のトラヴァースはこの映画を気に入らなかったそうですが、確かに(「魔女の宅急便」の本とアニメくらいの)大きな違いがある別物。 クセのあるメリーのキャラは和らげられ、本(1作目)のエピソードはごくわずかしか使われず、テリアのように形だけ出されているキャラもいますしね。 中盤にバート(ディック・ヴァン・ダイク)が登場してからは彼の比重が大きくなり(老頭取も兼任なのでなおさら)、終盤はバンクス氏と子供たちの和解に焦点があてられてメリーの存在感は薄まっていくのですが、それらを考慮に入れても魅力的な映画には違いありません。 20世紀前半のロンドンの情景には美しいマット・ペインティングが多用され、アニメとの合成や特殊効果も40年以上前の作品としてはよく出来ており、アンドリュースの歌や立体的な屋上セットでの煙突掃除夫ダンスと見どころ・聴きどころがつめこまれた贅沢で楽しいディズニー作品。 オードリーの「マイ・フェア・レディ」との逸話は今でも語り草、同じ年にこの2つの大作が作られたのは驚異的でもあります。 「完璧な人は感情におぼれないの」は映画オリジナルの台詞ですが、彼女の自信家でクールなキャラクターをうまく表現した言葉。 それと特筆すべきは本でも映画でも魔法使いなど特定のレッテルがないこと。 彼女がただ不思議な力をもっていて東風で飛んできて西風が吹くと飛んでいってしまうメリー・ポピンズであること、それがとてもいいと思います。