<ネタバレ>ジョン・メリック(本名はジョゼフ)がトリーブス医師から贈られ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>ジョン・メリック(本名はジョゼフ)がトリーブス医師から贈られた化粧箱を夜半庭先で夢心地で使う場面は、同じ年頃の青年のように振舞ってみたいという彼の願望が形になって現れたシーンである。頭に残った髪に櫛を入れ、硬くなった皮膚に香水をつけ、そこに座っているはずの若い女性に気取って話しかける彼を滑稽だとは思わない。メリックに手を差し伸べながら、自分が偽善者ではないかという畏れを抱いているトリーブスもまた魅力的だ。弱点(劇場のシーンは余計である。あれがこの映画を陳腐にしてしまっているし、ジョン・ハートのメイクアップも手心が加えられている)もある作品だが、製作側はこの映画が見世物小屋であることは先刻承知のことと思う。彼らが期待しているのは小屋から出てきた人間の心が入る時とは少し違ったものになっていることであろう。デヴィッド・リンチもティム・バートン同様異形なものへのシンパシーが強い監督だが、それがいい形ででた作品だと思っている。