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<ネタバレ>ドミニク・サンダのかわりにジャンヌとなったマリア・シュナイダーと、「ゴッドファーザー」で頬に入れた綿のない本来の顔のマーロン・ブランド。 名画座で見た初見は、まずジャンヌが清掃人の箒を飛び越えたり、猫を追いはらうシーンで鮮やかな残像となった。 黒い帽子とフェイクファー、ブーツで武装している彼女自身、女優というより素人のような異質さで、サンダであったらもっと端正になってしまったはず。 ブランドはヴィトー・コルレオーネとジョー=エルの間にこのポールがおり、闇でも光でもない無防備なやもめの男。 お互いのことを知らぬ彼らの一方が自己をさらけ出した刹那、関係が破綻するのは「シベールの日曜日」にも似ていようか。 何者でもない者同士の関係は、異国で妻を亡くしたポールより、恋人(ジャン=ピエール・レオ)のいるジャンヌにとって望ましいものであったろう。 手摺に身代わりのようにガムをくっつけ落ちていく男を尻目に、女は警察の事情聴取の予習を試みる無情。 大半がパリの空家のアパルトマンという限定された空間のせいか、その映像美がベルトルッチの「暗殺の森」「1900年」よりも印象に残っている。[良:1票]