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<ネタバレ>◆いきなり数学の用語で申し訳ないが、空間図形で「ねじれの位置」という言葉がある。中学生で習うのだが、2つの直線が平行でもなく、交わる事もない位置関係の事を言う。◆この作品では「ほむらの願い」と「まどかの願い」が、まさに「ねじれている」のだと思えるのだ。取り柄もない自分が役に立ちたくて、魔法少女に傾くまどかと、取り柄もない自分を守ってくれたまどかを守りたいと願うほむら。この両者の思いは接しそうで接しない「ねじれた」位置関係。◆大人になると何でも無い事でも中学生や高校生の頃はとてつもなく大きく感じられる、ある種危うくて尊い純粋さ。それを魔法少女のひな形を借りて描いた事が、まさに同じ世代の中高生からかつて同じ思いを抱いた大人まで、胸に響いたのだろう。◆途中、何回も失敗してしまうほむらの時間軸は残酷そのもの。絶望から魔女化したさやかに自爆して添い遂げる杏子、死を悟り錯乱する巴マミを一撃で倒さなければならないまどか、魔女になりたくないという最後の願いに応えるために引き金を引かなくてはならないほむら…。今の子どもたちを見ているとありえない設定ばかりだが、ほんの数百年前、人生が40年近くで閉じていた時代の14,5歳は、きっとこんな厳しい判断を迫られていたのかもしれない、と考えれば、やはり胸が痛い。◆そして最後、まどかの決意でルールを書き換える一方で、自分は消えてしまうというまとめ方で物語を閉じた。日常のシーンや何気ない伏線が、このラストにつながりきちんと収束させたところは本当に見事な終わりだった。◆この作品の感動のポイントは人それぞれだろう。自分の場合はOPのまどかの成長過程が反則と思える感動ポイントだった。筆者の息子も執筆時点で3歳だが、どうしても重ねてしまい、親目線で見てしまうのだ。そうやって見ると、本当に悲しく切ない話に思えてしまうのだ。◆どうか、まどかやほむらの同世代の人たちには、こんな殺伐とした時代だからこそ、支えあえる良き友を見つけて欲しいと切に願う。[良:1票]