<ネタバレ>制作費52億円らしいですが、確かに合戦のシーンはスケールが大 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>制作費52億円らしいですが、確かに合戦のシーンはスケールが大きいです。陣形をとっている大軍の兵士たちを遠巻きから映すのはキューブリックの「スパルタカス」を彷彿させますし、女武者隊が全滅してしまうシーンは馬の脚元を映し続け、いかにも踏みにじられている感じがよく出ています。また、霧の中から謙信の軍勢が〝オンベイシラ~(?)〟と現われる箇所も見所になっていますし、近年のアクション作品に見られるアップの連続で戦闘をごまかすような事をしていないのも好感が持てます。・・・ですが、結局のところ本作はそんなに面白く思えなかったです。それは人間ドラマが皆無に近い事や、添え物のように出てくる女たちのつまらない描写などにあると思いますが、最たる原因は本作が全編を通して躍動していないことにあると思います。例えば、謙信の成長物語であるにもかかわらず、謙信が将たる者の自身を失う、あるいは将たる者の覚悟をもつ大事なシーンにしても全くもってアッサリ処理され激情のようなものが走っていません。〝謀反を起こした配下の妻子を殺さねばならぬ〟という凄惨な場面であっても本作は迫ってこないのです。さらに、桜が散る美しい風景など風光明媚なシーンがけっこうありますが、それはそれだけでしかなく物語に生きているように思えないのです。