<ネタバレ>本来のパーソナリティ以外に存在する,悪しき隣人たるもう1人の .. >(続きを読む)
<ネタバレ>本来のパーソナリティ以外に存在する,悪しき隣人たるもう1人の自分という設定は,「ジキルとハイド」を例に出すまでもなく昔から繰り返し使われる。ただ,本作にジョニー・デップを起用したのはいかがなものか。最初から何かしでかしそうな病的なムードを背負っていて,物語の進行上まずいのではないか。序盤で既に観客にはオチが見えるし,ラストも……で,何とも気色悪い。トウモロコシ畑の土中にカメラが移っていったあとで,ジョニーがトウモロコシにかぶりつくシーンは,生理的に嫌悪を覚えた。何もかも彼のせいにするわけではないにせよ,原作では主人公のモートはいたってノーマルな男(普段は)で,間男に寝取られた妻を思ってウジウジしているちょっと情けない小説家という設定を考えれば,ジョニー・デップはやはり役者としてのアクが強すぎると思う。とにかく原作自体が名作というより佳品なので,全体としてややこじんまりとなったのは仕方ないだろう。最後にキング原作の映画を観るときの注意を一つ。キングという作家は後出しジャンケンがとても得意です。小説ではオチをすぐ開陳します。だから原作に沿って映像化すれば,結末はたちどころにわかってしまうので,どうか皆さん,そんなのに出会っても腹は立てないでほしいと思います。1ファンとしてのお願いです。