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<ネタバレ>映画としては確かに未熟かもしれないが、この作品はやはり貴族の血を引くヴィスコンテイでなければできなかった題材ではなかったか。オペラ座の光景。ロバート・クラスカーの荘厳なカメラ。ブルックナーの第七番。伯爵夫人の恋の相手となるファーリー・グレンジャーもルックスを生き延びてゆく武器にしながら、そんな自分の卑劣な行動に心底嫌気がさしている駄目人間を演じて好演。そしてこの話の素晴らしさはそんな「だめんず」に心底惚れ込んでしまった伯爵夫人アリダ・ヴァリの情熱的な眼差し、そして最愛の恋人を密告し処刑場に送り込んでしまった際の最後の叫び。恋のもたらす盲目的な熱情をこんなにうまく表した映画は無いのでは、と思っている次第です。ちなみにこの映画の原題は『「Senso」=官能』ですからね。