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「生まれてきてよかったんだ、と子供にエールを送るのが児童文学」
(by 宮崎駿 岩波新書「本へのとびら」より)
これは個人的な感想なのだが、高畑監督はご自身が監督するアニメに関して
理念というのか伝えたいテーマを予め立てた上、そこから逸脱しない様に
気を使いながら作品を手掛けられた方なのではないか、と思う。
例.「ハイジ」=「アニメ的な大自然の風景描写+魂の救済」、「母を訪ねて~」=「国境と貧困」、
「赤毛のアン」=「女性の社会進出」、「ホルス」=「神話の創造」
(その点キャラクターと基本的なプロットを設定した後は多少の逸脱をも
気になさらずに進めていた宮崎監督とは異なる制作アプローチだった気がする)
で、原作/脚本宮崎駿のこの作品に関して高畑監督が心がけたのは
「アニメーションによる児童文学の再現」。
大人には理解できない、子供の突拍子もない創造力や行動を描写している児童文学。
真面目な高畑監督はその再現をこの機会に真摯にとりくんだ、そこが私は好きなのだ。
この映画をスクリーンで見たのは2008年のリバイバル上映時。
今回レビューを書くために改めて見直したが、大人の自分にはこの面白さは
もう理解できない。一抹の寂しさを感じると同時に制作50年を迎えるこの映画が
ちゃんと今でも手軽に見れる事に感謝。[良:2票]