<ネタバレ>狩猟会における「ゲームの規則」、それは浮世を楽しく忘れる為に .. >(続きを読む)
<ネタバレ>狩猟会における「ゲームの規則」、それは浮世を楽しく忘れる為に偽りの感情を演じきることであり本音が介在することは許されない。そして規則を破った者に降りかかる悲劇。一見するとこの作品は単に「ユーモアが欠落している艶笑劇」なので公開当初フランス本国ではまったく当たらなかった、「楽しい悲劇」を目指した監督にとって最悪の作品となったのも当然とも思う。但現代の視点で鑑賞するといつの世にも変わらない、素晴らしい風刺劇であるというのが私個人の感想。普通こういった階級社会の没落を描いた作品にはその立場に立った人たちへの同情や時代への郷愁といった描き方をする(てか彼の前作「大いなる幻影」などはその雰囲気にあふれていた)のが常だがこの作中の人物に対して描くのは「現実を直視していない愚か者」であり、監督自身が演じたオクターヴに対しても変わらないスタンスで取組み突き放してしまっているのには驚かされる。その上で人として生きる真実=本当の愛・友情を求めることに目覚めた飛行士(この職業設定もつまるところ地に足がついていない、という意図を込めてますよね)が誤射によって射殺された挙句、狩猟会の獲物(ウサギ)の様な軽い扱いをされてしまうという皮肉。1939年の大戦前夜に監督ルノワールが伝えたかったのはそんな時代の流れを直視せずに怠惰な日々を過ごしている人々への警鐘、だったのでしょう。初見の感動がいまだに残っているのでちょっと甘目ですがこの点数。