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<ネタバレ>夜が明ける。愛犬の鳴き声が聞こえる。静かな始まりだがスクリーンには何とも言いようのない緊張感が走る。母親の叫び声が聞こえる。枕元にあった父の形見。少女が父の過去を探ることで得た真実と悲劇。そして希望に溢れた「南」への旅立ち。エリセの映画は観客に対して想像力を想起させる点で本当に良くできていると思う。例えば父親の過去の愛人だった映画女優(「ミツバチのささやき」のフランケンシュタイン、といいこの人映画好きなんだなぁと感じる)や壁に書かれたいたずら書き、自転車に乗った少女が少々大人びて戻ってくるカットはまさに映画。スクリーンで見た時は本当に感激した。ラストもエリセが望まなかった、中途半端な終わり方かもしれないが、この映画を観た観客はもうわかっている。彼女はこの先どんな困難にあっても乗り越えてゆける、少女から立派な大人への段階を経たのだ、と。俳優。やはり80年代最高の男優はデニーロやホフマンではなかった。アントヌッテイその人である。限りなくこれは10点に近い9点。今日、私は南へゆくのです…。[良:1票]