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<ネタバレ>事前に町山智浩・春日太一「日本映画講義 時代劇編 (河出新書)」を読んだ上で、2022年GWに4Kリマスター・リバイバルを鑑賞。黒澤明「用心棒('61)」を起点とするリアル時代劇の流れによって制作されたとは言え、個人的な感想としては「のんびりとした東映時代劇らしさが残ってしまっている」このシリーズ。ところがこの作品における一乗寺の死闘=カラー画面がモノクロに変わり汚泥の中で多人数と闘う宮本武蔵、このシーンだけは物凄い緊張感と迫力があり、このシーンを見るだけの為に映画館鑑賞の元は十分取れた感がある。町山氏+春日氏の本の中で印象的だった記述はまず、監督内田吐夢の戦争体験。満州国の設立に参加した彼が敗戦による混乱を経験・戦後残留民として約7年間、極貧の中で生きてきた、という=この白黒シーンはそんな重苦しい戦争体験を表したのではないかという感想を私、持ったわけですよ。そしてもう一点、正月ロードショーとして公開されたこの映画、その年の興行収入6位だったにも関わらず東映上層部の評判よろしくなくこの作品でシリーズ打ち切りの可能性もあった、という事。藤子・F・不二雄先生のオバQだと思ったら実は「劇画・オバQ」だった、位の観客の戸惑いが東映上層部には映ったんだろうなぁ。...え〜、とにかく日本の時代劇史上屈指の名作ですので機会がありましたら。特に1作目(新免武蔵=中村錦之助のギラギラ感が素晴らしい)と4作目のこの作品は必見。