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<ネタバレ>フェリーニの作品では小品だけど私にとっては愛着を感じるのはこれです。彼の幼年時代の思い出は私の感想では「道化師を見て笑った楽しさ」というよりも「笑われる道化師への哀愁」。「道化」師という職業は元々王室等で暇つぶしのネタにされるようなある意味「くだらない」職業であり、(その為矮小の体をもつ人達などが付く事が多かった)サーカスのピエロもそんな名残から人々からも見下されていた現実が多々あったという。哀しみを表に出さず自らを「道化」として笑いを生み出す職業、こんな寂しい話があるでしょうか。だけどこれはそういった人々へのフェリーニなりのエールなのでしょう。中世スペイン王宮でのお付画家として名を馳せたベラスケス、彼の絵画には道化をモチーフとした作品がありその中の人物はまっすぐな視線を鑑賞者に向けた「道化」という職業への誇りを表したかのような力強い作品が多いのですが、この映画はフェリーニにとっての「ベラスケスの絵画」。暗闇に消えてゆく道化師とそれにかぶるラストシーンの哀愁溢れるトランペット、「寂しさもあるがこれもまた素晴しい」応援歌のはずです。