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<ネタバレ>本作の主人公の境遇には十分過ぎるほど同情でき、復讐しようとする気持ちも理解できます。しかし復讐を遂げたあともスッキリ感がありません。カタルシスを感じないのです。それは“溜め”と“爆発”が無いからです。苦渋の期間はあっという間(いきなり髭顔で時間を省略)。復讐も計画的で瞬発力が無い。また、復讐に“やり過ぎ感”があるのもいただけない。自業自得とはいえ、トラボルタにも同情の余地はあります。家族を失う痛みは誰でも同じ。にもかかわらず、計略でトラボルタに妻を殺させたのは、度が過ぎてはいないか。おまけにトラボルタを火だるまにして、車で引きずる無慈悲ぶり。文字通りちょっとひきます。それでは「手ぬるい」と感じるくらいで丁度いい。その方が主人公に”正義”を感じられると思う。また、主人公が復讐を復讐と認めていないことにも引っかかります。潔さがない。復讐に対して心が痛む。良心の呵責に耐えかねて“制裁”と言い換えているのであれば、まだ理解もできます。しかし主人公の苦悩は見えません。単なる詭弁に感じられてしまう。たぶん本作の狙いは、「ライト感覚のアクション復讐劇(笑いもあるよ)」だと思うのですが、これはとても難しいこと。アイスクリームで天ぷらを作るようなものです。重いテーマを軽く見せるには技術が必要でした。