<ネタバレ>代わり映えしない周りの景色。体温の上がらない日々。希望は品切 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>代わり映えしない周りの景色。体温の上がらない日々。希望は品切れ中だけど、閉塞感は毎日バーゲン。思考の幅が狭くなり、判断力が鈍くなっていく。それはこの町に住む人々全員に共通しています。泥沼に足を踏み入れていく主人公の兄。交際中の女の娘に手を出す父。母は世間体を気にするばかり。今歩いている道を唯一の道だと信じて疑わない人々。いや、意識か無意識か可能性に目を閉じているのだと思う。もっといい道(人生)があったらたまらない。今までの生き方を否定することになってしまうから。斜め下を一心不乱に見つめ続ける。そんなふうに見えます。気が滅入るほどリアリティがある。だから笑えます。同時に寂しい。ラストに提示されるのは、現状肯定。三浦友和は現実をただ受け入れます。木村祐一は、お宝を換金するのを諦めます。ラスト、主人公は拳銃を乱射。現状に対する最後の足掻きか。でも何も変わらない。ただ、そのことを確認したかっただけなのかもしれない。元の生活を彼はまた始めるのでしょう。語り口はニュートラルなので、希望を見出せないこともない。でも個人的には、他人事と思えず、なんとも後味が悪かったです。完成度は高くセンスもある作品。でも苦い。苦すぎる。[良:1票]