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<ネタバレ>ご都合主義満載でリアリティの無い展開。ロケ先やキャスティングに必然性はありません。でも好意的に受け止めたい。飾りが陳腐でも、中に光るものを感じたから。高尚な芸術作品でも、お気楽な商業作品でも、その部分は変わらない。一般人の傷害致死事件よりも、有名代議士の収賄事件のほうへ人々の関心は寄せられます。大衆が興味を示すのは、スキャンダラスなほう。検察と弁護人にしても同じようなことが言えます。膨大な数の案件を抱える中、取り組み方に差が出てしまうのは仕方が無い。否応も無く事件の大小は存在します。でも当事者にとっては違う。ましてや大切な人の命が失われている。遺族が願うのは、真実が明らかになること。その想いを受け止めるのが久利生公平です。彼は決して手を抜かない。しかし苦労が報われるとは限らない。遠方まで足を運んで得た証拠は役に立っていませんし、徹夜で写真を調べたことも成果に繋がらなかった。そもそも、99%徒労に終わると分かっている努力を、人は出来るのかという疑問がある。でもその一方、心が動かされたのも事実です。骨身を惜しまずに働くことは美しい。報われない努力も素晴らしい。恥ずかしくて口に出せないけど、本当は大切なことが示されていると感じました。真摯に事件に取り組む主人公の姿に、心を動かされた仲間たち。彼らの手助けがあったからこそ、たった一つの証拠へ辿り着くことが出来た。さらには、相手の弁護人と被告の心をも動かします。(彼らが必死に見つけた証拠は、被告の傷害を立証するものではありません。しかし有罪判決が出ています。つまり被告は当初の自供を再度認めたことが伺えます。)無駄に思えた努力にも意味があったということ。結果が見えないからこそ、努力は尊いのだと思う。法廷は、裁判のテクニックを競う場所ではなく、真実を明らかにするための場所。その本来あるべき前提に、主人公だけでなく弁護士も被告も立ち戻りました。それが“現実的でない”と思えるならば、現実のほうが間違っているのだと思います。骨身を惜しまぬ仕事がバカらしく思えることも、報われない努力が虚しいと思うことも同じ。現実を受け入れないのはバカです。でも理想を捨ててしまうのは、もっとバカだと思います。本作はリアリティに乏しくファンタジーに近い。存在しないHEROに憧れること。もしかしたら、これほど皮肉なことは無いのかもしれませんが。