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<ネタバレ>リアルシミュレーション型ウィルスパニック映画。その性質上、いわゆる映画的な、劇的な展開は極力抑えた仕上がりとなっているのが特徴です。虚報に振り回され混乱する市民。悪化する治安。抗ウィルス薬が開発されてハッピーエンドではなく、むしろその先が本題でありました。ワクチンをいち早く手に入れるため、実力行使に出る者。情報操作で富を得ようとする者。人間の本性が暴かれます。例えばドクター・チーヴァー。彼は恋人を救うために機密情報を洩らしました。非難されるのは仕方がないこと。でも彼と同じ立場で、彼と同じ行動を取らぬ者がどれほどいるのか。生き延びたい。いや、大切な人を守りたい。その思いは誰も否定できないでしょう。チーヴァーが自らのワクチンを友人の子に譲ったのは、せめてもの罪滅ぼしでした。レオノーラ博士は、自らを拉致した中国人に情が移った様子。一体彼女は何をしたいのか。でも、良くも悪くも人間らしいと感じました。素晴らしい人物造型でした。研究者、市民、ジャーナリスト、各分野に主役級を配した豪華なキャスティングは、全ての人間が“当事者”である事を意味しています。何時起こるとも知れぬパンデミック。それぞれの立場で、各々の人間力を駆使し、人はウィルスの恐怖と立ち向かわざるを得ないのです。[良:3票]