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<ネタバレ>本作は“距離”の映画。北九州から東京までの物理的な移動距離。旅に要する費用などの金銭感覚。憧れのバンドと自分たちとの間に在る隔たり。そして自らの将来に対する希望。どの距離感覚も彼女たちには、全くと言っていいほど備わっていません。いや正確には“測ろうとしていない”のでしょう。実測して現実と向き合い、絶望してしまうことに怯えているのかなと。この心理は理解できます。子供時代の終焉。現実と向き合う大人の世界へ。そんな不安な状況ゆえ、刹那の快楽に逃げるのも無理からぬこと。世間を、現状を、自分自身を、とりあえず見ないふり。まあ、それもいいでしょう。というより私自身、彼女らに説教を垂れられるほど立派な大人ではありません。ただ、心配なのは、今回の旅を“良い思い出”として消化してしまわないかということ。それだけは要注意です。360度いろんな人に迷惑をかけた事実を自覚すること。しばらくは布団に入る度に後悔でジタバタする必要があるでしょう。失敗をきちんと整理し、反省することで、はじめて成長できるのですから。家庭用ハンディカメラの映像をメインツールに臨場感を演出しながらも、通常のカメラも併用し客観的な視点を担保するバランス感覚は秀逸です(純粋に観易いという利点もあり)。ただ、編集用のカチンコをさりげなく本編に入れ込むあたりは、ハイセンス過ぎて鼻につきますが。主演の女子高生はみんな生々しくて素晴らしかったです。