<ネタバレ>(ネタバレあります。ご注意ください)
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<ネタバレ>(ネタバレあります。ご注意ください)
中井・佐々木が悪徳骨董商に仕掛けた罠は、詐欺の罪に問われるでしょうか?知らぬ存ぜぬ(所謂善意の第三者)が通用するほど、司法は甘くないでしょう。少なくとも、佐々木が自作した陶器という物的証拠もあるワケですし。ポイントは、騙された側が訴え出るかどうか。後日談となるミニエピソードを見るにつけ、どうやら告発する気は無さそうです。もちろん、そこまで折り込み済みの詐欺計画に違いありません。つまり、後日贋作は(当然)見破られるが、それでも近藤正臣は黙ると。これは騙し取られた1億800万円よりも、鑑定士としての信用や沽券の方が大切という意味。言い換えるなら、これまで(そしてこれから)贋作を掴ませて儲けてきた(儲けるであろう)高の方が、騙し取られた額を遥かに上回るということ。なんとまあ、恐ろしい世界でしょうか。それに欲に目が眩むという状態も(中井は体験済ですね)。大金をせしめ、因縁の相手に一泡吹かせて溜飲を下げて終わりではなく、佐々木の陶芸家としての将来へ目をむけた未来志向の落としどころも良し。おそらく佐々木が背負った十字架は後々彼を苦しめると思いますが、コピーではなく本物を越えるオリジナルを目指した点に、陶芸家として死なずに済んだ、というか僅かな救いがある気がします。物語の構成や人物造形はシンプルで分り易く、役者も達者揃い。気楽に観られる娯楽作品として充分な価値がある映画と考えます。