<ネタバレ>ネタバレあります。ご注意ください。
本作のハイライトは .. >(続きを読む)
<ネタバレ>ネタバレあります。ご注意ください。
本作のハイライトは【私があんたのあまろっくになってやる】です。優子にこの台詞を言わせる為の物語でした。なんと感動的な言葉でしょう。私は撃ち抜かれました。しかし同時に「でも自分の人生を犠牲にするのはあかんやろ!」と猛抗議せずにはいられません(口調は関西弁で)。結末についてはあえて言及しません。未見の方はご自身の目でご確認ください。
本作についてはやはり「リアリティ」に触れざるを得ません。①20歳女性と65歳男性の結婚は許されるのか。②39歳無職女性に同年齢の商社マンは釣り合うのか。③20歳継母と39歳義理の娘との同居は可能なのか。常識的に考えれば全てNOです。お花畑が過ぎます。私自身3人娘の父親なので①については仮に相手がビルゲイツやキムタクであっても論外です。②は「そんなケースがあっていい」とは思うものの、確率はかなり低いと思います。39歳橋本環奈が24歳の牧野ステテコに勝てないのが婚活市場では。③については何でしょう。地獄絵図しか思い浮かびません。今は無き昼メロドラマの呪いでしょうか。しかし本作は愛の物語。あらゆる障壁が無効化される強力魔法が掛けられています。だから常識を持ち出しても意味がありません。これは現実世界も同じ。そういう意味で「愛」は無敵です。
あるいは「多様性を認める社会」という切り口で本作を解釈することも可能でしょう。この概念もまた愛には敵わぬまでも十分強力な魔法です。八百万の神を認める日本人気質にも本来「多様性」は合っている気がします。もっとも本作が上質なのは、これら魔法を物語上の免罪符として利用していないこと。あくまで正攻法で観客の理解を得るよう努めています。好感度オバケの鶴瓶師匠。鯖以上にサバサバしている江口のりこ。キャラクター造形は文句なしで、夢物語に最低限のリアリティを担保しています。ただ一点だけ異を唱えたい箇所あり。それは年の差カップルの馴れ初め。男女を入れ替えれば即訴訟案件なのは間違いなく、コレが許されると思う感覚が古いと思います。