<ネタバレ>「何でこんな事になっちゃったんだろうねえ……」そう呟く女は酷 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>「何でこんな事になっちゃったんだろうねえ……」そう呟く女は酷く窶れ、実年齢より随分と老けて見えた。「あの時わたしが止めていれば」少女は俯き唇を噛みしめた。あの日から3ヶ月。彼女は目を開けていない。窓から差し込む西日の長さと、蝉の喧騒から解放された涼しげな空気が、季節の移ろいを感じさせた。「昔からあの子は猫好きだったから…捨て猫にクッキーをあげたり、猫じゃらしの畑を作ろうと庭に種を植えたり、猫にプレゼントするんだって生きたネズミまで探したり……でもあの子には猫の心配より、自分の心配をして欲しかった。…自分の時間を…生きて、欲しかった」その刹那、一陣の風が窓を叩いた。いや風ではない。黒い、大きな鳥が、窓にぶつかったのだ。振動でゆれる棚。タキシードを着た猫の置物が彼女の枕元に、すっと舞い降りるように、落ちた。「あれ…バロン……おはよう」まるでいつもの朝のような笑顔をみせる彼女。信じられない出来事を目の当たりにして、親友と母親は声を失っていた。頬を暖かな涙がつたう。「あんたって子は…」やっと声を絞り出した母親は震える手で娘の髪を撫でた。「どうしたの…2人とも…何か…あったの?」「ううん、大丈夫だよハル、大丈夫。2人で17歳の夏をやり直そう」ひろみは優しくハルを抱きしめた。「ニャー」いつも椅子の上で寝てばかりいるムタが、ちょっとだけ片目を開けたような気がした。 こんなエンディングが付いたディレクターズカット版なら7点を付けたかもしれません。池脇千鶴の上手さに+1点。